新型コロナウイルスによる不安やストレスなどの心の問題に対処するために

ウィズコロナの時代―濃厚接触者となった経験から―

新型コロナ感染症について感染症の症状や感染予防対策が少しずつわかってきましたが、まだ不明なことが多く、感染が再拡大するところもあり不安や恐れが続いています。

「うつさない、うつらないように」予防対策に取り組んで10か月、疲れもストレスもたまっているでしょうし、テレワークやご家族の世話、教育や育児などで大変な日々を過ごされていることと思います。感染予防についてはマスクや消毒液は手に入り、ウィズコロナの日常生活に慣れてきていることでしょう。Go-to travelキャンペーン、Go-to eatキャンペーンなどを利用しての旅行や外食を楽しんでおられる方もあり、町や飲食店などの人出も増えている感があります。

陽性者との接触に関しては「厚労省の新型コロナウイルス接触確認アプリ(COCOA)」に登録し、朝晩チェックする。毎朝体温を測る。発熱や咳の有無、味覚や嗅覚の異常、風邪症状などに気を配るなどの対策は周知されていることと思います。
 

接触確認アプリを開いたら…

ある日、接触確認アプリをクリックしました。すると画面に、

「陽性者との接触を確認する」→「陽性者との接触確認」1件 →「陽性者との接触一覧」→「過去14日間の接触一覧」1件 →2020年●月●日濃厚接触がありました。

と表示されたのです。

「えっ、濃厚接触者・・・感染している?・・・周りの人にうつしたら大変、仕事の予定はキャンセル?・・・誰にお願いしたらよい?・・・いつまで?・・・」など様々な心配が頭をよぎりました。
ショック状態が過ぎると「濃厚接触者はどうするのか」に思いが至りました。アプリをチェックすると、「電話で症状を伝えて相談」とあったので、すぐに電話しました。

 私 :すみません。厚労省のコロナ感染症アプリで陽性者に接触とあったのですが・・・
 受付:現在の症状ですが、発熱や咳はありますか。
 私 :いいえ、特に何もありません。
 受付:いつ陽性者と接触したとなっていますか。
 私 :●月●日です。
 受付:ああ、もう12日過ぎていますね。特に心配ありません。普通にしていていいですよ。
 
とのことでした。「そう?・・・大丈夫?・・・よかった」と思いましたが、後2日間は熱を測り、気を付けて過ごしました。そして、どこで陽性者と接触したのか、思い出してみました。2人の人と会っていますが、その方からのコロナ感染の連絡は届いていません。他に特別思い当たることはなく、「通勤電車内で接触かしら?」と思っていました。

再びの通知

その後異常もなく、ホッとしたのもつかの間、アプリをチェックしていると10月に入り「陽性者との接触確認」●月●日1件 となっていました。

すでに10日が経過しています。あと4日間は自宅待機が必要と考え、職場の上司と人事に連絡しました。出社した日の接触については自分でも覚えていたので、その人たちへの連絡もお願いしました。

アプリの電話で相談すると「症状はなしですね。でも、4日間は自宅待機してください」とのことです。そこで、「濃厚接触の通知が2件目なのでPCR検査をお願いします」と頼みました。すると最寄り駅の検査できる病院を案内されました。すぐに病院に電話すると「新型コロナ感染症のPCR検査について概要の説明があり、11時30分に病院に来てください」とのことでした。

確認事項としては、「PCR検査は無料ですが、初診料と結果通知の診療費はかかります。LINE登録をしてオンライン診療になります。その際の診療費はクレジット決済になることをご承知いただけますか」とのことです。否応なくお願いすることにして病院へ行きました。

歩いて5分ほどの場所です。「もし感染しているなら、他の人にうつす危険性がある。誰にも会わずに行けるか?歩いていくしかないけど大丈夫か」と不安で小走りに行きました。

病院に着くと入り口右手に「発熱、接触者待合室」がありました。椅子が縦に並べられ、誰もいないので一番前に座って待ちました。10分ほどして携帯に電話がかかり「今、どこにいますか。受付に来てください」と言われて驚きました。「(普通の)受付に行ってもよいのか?接触してもよいのか?」と思いながら他の患者さんもいるところで受付をしたのです。

その後、若いお医者さんにこの病院を選んだ理由を尋ねられ、「主治医のところは高齢の方が多く、感染の心配があるのでこちらを選んだ」ことを伝えました。現在の症状の確認があり、PCRの唾液検査キットを渡されました。それに唾液を取り、看護師さんに渡し、検査結果の聞き方などの説明を受けて帰りました。もし陽性なら今後どうなるか、買い物もできないと思い、接触しないよう急いで買い物して帰りました。そして、職場に「結果は明日以降出るので連絡する」ことを伝えました。

自宅では、「感染したらどうするのか、仕事、体調、連絡は・・・もしものことがあれば・・・」などいろいろ思い浮かび、落ち着きません。とりあえずできる片付けなどして過ごしました。結果は、翌日の19時にオンライン診療で知らされました。LINE画面で医者から「陰性でした。明日から普段通りの生活をして大丈夫です」と言われ、ほっとすると同時に、もし陽性の場合はどうなのだろう、別の指示があり、隔離や入院となるのだなあと考えつつ職場に陰性だったことをメールで連絡しました。

アプリでわかるのは、陽性者に接触した日だけです。「どこで」、「誰に」というのは不明です。濃厚接触者の定義を見ると、家庭と医療現場の接触ではないため、「手が触れることのできる距離(1m)で必要な感染予防なしで患者と15分以上接触があった者」に当たります。マスクはずっと着けていましたし、発熱や咳をしている人はいませんでした。でも、そばに陽性者がいたと思われます。感染した人で感染経路不明の人が多いのは、私と同じように確認ができないからだろうと思います。

自分が濃厚接触者や陽性になった場合に適切な対応が取れるような準備を

今回のことで濃厚接触者の不安・恐れがよくわかりました。自身で体験し、その身にならなければわからないことだと実感しました。

日本でも世界でもコロナ感染症の予防や症状改善にご苦労いただいている医療従事者や感染症学者の方には感謝です。十分注意し、濃厚接触者や陽性者になった場合についてもそのときどきに取る手段や対応について理解しておくことが必要です。そして、感染してしまった人を責めたり攻撃したりせず、情報を共有して一緒に感染症と戦う心がけを大切にしたいと思いました。

 ​一般社団法人日本産業カウンセラー協会
シニア産業カウンセラー・公認心理師 伊藤 とく美

上記と同じ内容をPDFにしています。周りの方への情報提供にご活用ください。
ウィズコロナの時代―濃厚接触者となった経験から―

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