新型コロナウイルスによる不安やストレスなどの心の問題に対処するために

コロナ疲れ、どういうこと、どう対処する?

 内閣府が行った意識調査(*)によるとコロナ疲れを感じると回答した人が7割を超えるとのことです。コロナ疲れを「感じる」が33.7%、「やや感じる」が37.9%で、年代別で見ると20代の「感じる」が41.3%と最多で、「やや感じる」の33.5%と合わせると74.8%にのぼりました。一方で、60代以上では「感じる」が26%、「やや感じる」は44%だったとのことです。
 *インターネットを通じて2021年4月30日~5月11日に実施。1万人を超える回答がありました。
 

コロナ疲れとはどういう疲れなのか

内閣府によるとコロナ疲れの定義はなく、外出時にマスクをつけることや、外出自粛を続けること、飲食店の時短営業による不便さを我慢することなどが想定されるといいます。
新型コロナウイルスによる様々な制約を受けることのストレスで、精神的に参ってしまう状態、新型コロナウイルス感染の猛威の中、先の見えない不安と休職による経済的な圧迫、自粛要請によるストレスなどが原因となり、イライラが収まらない、夜寝られないなどの症状が現れる心の不調のことを指すようです。

緊急事態宣言に続き、まん延防止等重点措置、テレワーク等での我慢と忍耐の日々がすでに1年を超えています。
人間らしい触れ合いや会話もできない、会えないという毎日が続きます。日本人は忍耐強い、真面目で決められたことに従う傾向があると言われます。しかし、さすがに疲れてしまったと感じるのも当たり前のことと思います。

コロナ疲れとはどういうことでしょうか。人はさまざま、環境や置かれた立場により感じ方は違います。それでも多くの方が感じるコロナ疲れについて私の場合で考えてみます。友達と自由に出かけられない。職場の人とお茶や昼食をともにしておしゃべりもできない、電車通勤は無言で運ばれる。ちょっとカフェで一休みしたいと思ってもアクリル板で仕切られた中、無言でお茶を飲む等など・・・ああ、不自由だな・・・としみじみ思います。それに、常にマスク着用や消毒、熱を測ることも日常になりました。だいぶ慣れてマスクを忘れることもなく、消毒液にもすっと手が出る反射状態になりました。そして、なんとなく疲れているなと感じることが増えたようです。この疲れをそのままにしているとメンタルヘルス不調に陥る恐れも十分考えられます。

コロナ疲れについての考え方や対処法を探る

これまで新型コロナウイルス感染症の予防対策や不安、ストレスについてその解消法として、呼吸法や自律訓練法、マインドフルネス等をお伝えしてきました。今回はコロナ疲れについて考え方や対処法を探ってみたいと思います。

私たちが「疲れた」というとき、体が疲れていると思うけれど、実は脳が疲れている、自律神経の乱れともいわれます。
疲れた時に気分転換の運動をしてすっきりできたといいますが実は疲労は蓄積しているとのことです。何より休むことが大切だそうです。
では、コロナ疲れはどうなのでしょうか。脳の疲労とも考えられます。一方で正体のわからない疲れがたまっているとも思われます。
これらの自分の疲れについて書き出して、その実態を眺めてみましょう。それに対して今後どうしていくのかを考えることが必要ではないかと思われます。

我慢、忍耐している自分、人間らしい生活ができずにつらいと感じる自分、将来の予測がつかない中でワクチンに頼り何とか元の生活に戻るまで耐えようと頑張る自分をしっかり認めましょう。「よく我慢しているね、自分」とほめてあげましょう。
そして次に説明する図に示したコロナ疲れをしっかり確認して正体を見定め、このコロナに向き合う自分はどうありたい自分であるかを明確にしておきましょう。

自分の「コロナ疲れ」とは何かを確認する

まず、私の「コロナ疲れ」とは何か、確認してみましょう。
自分は何にこんなに疲れてしまっているのか・・・。それをノートや白紙に書き出してみましょう。
自分のこころの疲れを言葉にしたり図にしたり色で表現したりして可視化してみます。わけのわからない疲れの正体・実態はなんなのか探ってみましょう。

 
私のコロナ疲れについて、何がつらいのかこころに浮かぶことを思いつくまま書いてみましょう。
つらいことは何?
私のコロナ疲れは何?
 
今、こころに浮かぶことをメモする
【例】
外を自由に散歩できない 友達とおしゃべりできない 
友達と会食できない 旅行に行けない 
実家に行けない 施設の親に会えない 
子供を外で遊ばせられない 買い物が自由にできない
映画やコンサートに行けない
マスク生活・・息苦しい 熱い かぶれる
我慢 忍耐 努力 人目を気にする 電車通勤で不安 
テレワークが疲れる オンライン会議が続く 残業が多い 
病院で感染が心配 制限が多い 軟禁生活みたい 不自由だ 
つまらない さびしい つらい 苦しい いらいらする 不安 
重苦しい 落ち込む 気力がわかない 眠れない 頭痛 肩こり 
腰痛 倦怠感 眠れない ストレスがたまる
 
 ここに書いてみましょう









書いたそれぞれのことばに色を塗ってみましょう。何色がぴったりでしょうか。
青色 灰色 黒色 橙色・・・どんな色になりますか、何色が多いですか。

私は灰色、茶色、黒色、黄色が多かったです。
色彩心理学的にみると、灰色は不安や曖昧、茶色は暗い、重いなど、黄色は不安、黒色は拒絶、孤独、重いなどを意味するようです。

 自分の中にある不安や心配、孤独などの気持ちを反映しているように思います。
自分の今の気持ちや疲れはこのような意味なのかなと感じられました。

次にメモした言葉についてリフレーミング(フレームを変えて見ること)してみましょう。
例えば、
リフレーミング前の「心配性」は、リフレーミング後には神経細やか、人に気を配れる、慎重などという別の見方をすることができます。

リフレーミング前   リフレーミング後
 友達とおしゃべりできない  → 友達と会って思い切りおしゃべりできないけど、電話やメールで
気持ちを伝えることはできる。友達の大切さがわかった。
自分は人とのふれあいをとても大事にしたいとわかった。
このつらさから学ぶことができた。すごいね。
 実家や施設の親に会えない  → 今まで年に数回は会えたけど、1年以上も会っていない、
電話やビデオ通話で話せた、手紙も書いた。
今までより親のことを思う時間が増えて大切だと感じられた。よかった。

すべて「できない」「しないほうがいい」と我慢していたことですが、考え方を少し変えて言い換えてみることで新しい気づきも得られるように思います。ぜひ取り組んでいただきたいと思います。

 では、次に新型コロナウイルス感染症が収束したら何をしたいか、希望を書き出してみましょう。
友達と出かける 会食する おしゃべりする 旅行する 実家に帰る お墓参りに行く 
施設を訪問する 映画館や美術館に行く コンサートやスポーツ観戦を楽しむ 職場で歓送迎会を開く・・・
⇒ いつごろ、誰と、どこへ、どのように、何をなどいろいろ計画も書き出してみましょう。  

 友達としたいこと、家族でしたいこと、職場でしたいことなどまとめてみましょう。
それに優先順位をつけてみるとどうなるでしょうか。
自分が本当に大切にしていることもわかってくるように思います。

ワクチン接種が進んでいます。新たな変異株のニュースも続きます。
先が見えない状況はまだありますが、コロナ疲れについてご自身の整理をして少しこころを休めて日々を過ごしていただきたいと思います。
「明けない夜はない、必ず朝が来る」と信じて前を向いて過ごしていきたいと思います。

 

 ​一般社団法人日本産業カウンセラー協会
シニア産業カウンセラー・公認心理師 伊藤 とく美

上記と同じ内容をPDFにしています。周りの方への情報提供にご活用ください。
コロナ疲れ、どういうこと、どう対処する?

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